せっかく積水ハウスでこだわりの注文住宅を建てたのですから、真っ白できれいな壁にお気に入りの絵画を飾ったり、おしゃれな時計を取り付けてインテリアを思う存分楽しみたいですよね。でも、いざ新品の壁を目の前にすると「本当にここに穴を開けていいんだろうか?」「壁の裏に変な配線が通っていて、傷つけたら大変なことになるんじゃないか」と不安になって、結局何も飾れずにいる……なんてことはありませんか。
実はこれ、私自身もそうでした。宅建士として多くの物件を見てきましたが、いざ自分のマイホームとなると、画鋲ひとつ刺すのにも手が震えてしまったものです。特に積水ハウスの家は気密性や断熱性がしっかりしている分、壁の構造も複雑に感じてしまいますよね。
しかし、ご安心ください。積水ハウスの壁の多くに使われている「石膏ボード」の特性を理解し、正しい道具と手順を踏めば、誰でも安全に、かつ壁へのダメージを最小限に抑えて壁掛けを楽しむことができます。この方法を知ってからは、私も自宅のリビングや寝室にアートを飾ったり、掃除機の充電スタンドを壁付けにしたりと、空間を有効活用できるようになりました。
この記事では、私が実際に自宅や経営する賃貸物件で試して「これは使える!」と確信したフックの選び方から、プロ顔負けの下地の探し方、そして万が一穴を開けすぎてしまった時の補修テクニックまで、余すところなくお伝えします。
- 積水ハウスの石膏ボード壁に最適なフックの種類と、失敗しない耐荷重の選び方がわかる
- 壁に大きな穴を開けることなく、重い鏡や時計を安全に飾る具体的なテクニックが身につく
- プロが実践している「下地センサー」を使った間柱の探し方と、構造上の注意点が理解できる
- 退去時や模様替えの際に役立つ、プロ並みにきれいに仕上がる壁の穴埋め補修方法がわかる
積水ハウスのウォールフックの使い方と種類ごとの特徴
積水ハウスの住宅で壁掛けインテリアを楽しむためには、まず「壁の材質」と「掛けたい物の重さ」にぴったり合ったフックを選ぶことが最初のステップです。ホームセンターに行くと無数のフックが並んでいますが、適当に選んでしまうと、大切な時計が落下して破損したり、壁紙が大きく剥がれてしまったりと、取り返しのつかない失敗につながることもあります。
ここでは、積水ハウスで一般的な「ビニールクロス仕上げの石膏ボード壁」を中心に、それぞれのシーンに最適なアイテムを、私の実体験を交えて詳しく解説していきます。
石膏ボード用フックの耐荷重と選び方
まず大前提として知っておいていただきたいのが、日本の住宅、そして積水ハウスの内装壁のほとんどは「石膏ボード」という素材でできているということです。これは石膏を紙でサンドイッチした板で、防火性や遮音性に優れていますが、一点に力がかかるとボロボロと崩れやすいという弱点があります。
そのため、昔ながらの「太いクギ」や「木ネジ」を何の下準備もなく打ち込むのはNGです。最初は刺さったように見えても、時間の経過とともに穴が広がってグラグラになり、最終的にはスポッと抜けてしまいます。

そこで絶対に用意していただきたいのが、「石膏ボード専用フック」です。これは、非常に細いピン(針)を2本〜3本、異なる角度からクロスさせて壁内に打ち込むことで、石膏ボードの中でアンカー効果を発揮し、驚くほどの固定力を生み出す仕組みになっています。
【必見】目的別・石膏ボード用フックの選び方目安
| タイプ | 耐荷重の目安 | おすすめの用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| シングルピン(Jフック) | 約5kg〜7kg | カレンダー、帽子、軽い額縁、ドライフラワー | ピン跡が一番目立ちにくい。最も汎用性が高い。 |
| ダブルピン(Jフック) | 約10kg〜11kg | 壁掛け時計、中型のアートパネル、コルクボード | ピン2本で支えるため安定感が増す。少し重い物でも安心。 |
| ストロングタイプ | 約15kg〜20kg | 姿見(鏡)、重厚な額縁、小型の飾り棚 | 3本以上のピンを使用。金属製プレートでガッチリ固定。 |

私が新築の引き渡し時に積水ハウスの担当者さんからいただいた「メンテナンスキット」の中にも、このクロスピンタイプのフックが入っていました。「マジッククロス」という工法を採用した製品は、抜いた後の穴が直径1mm程度と画鋲レベルに小さいのが最大の特徴です。これなら、将来的に模様替えをしたくなっても、クロスの補修材をちょんと埋めるだけで痕跡を消すことができます。
選び方のコツとしては、「表示耐荷重の7割〜8割程度の重さで使うこと」をおすすめします。例えば耐荷重7kgのフックなら、掛ける物は5kgくらいまでにしておくのが無難です。なぜなら、ドアの開閉による振動や、地震の揺れなどで瞬間的に負荷がかかった際、ギリギリの耐荷重だと抜けてしまうリスクがあるからです。大切な家財を守るためにも、少しスペックに余裕を持たせた選び方を心がけましょう。
穴を開けないマグネットや粘着式の活用
「新築だから、たとえ画鋲の穴ひとつでも開けたくない!」「気分によって毎日飾る場所を変えたい」という方には、壁に傷をつけないマグネット式や粘着式のフックが有力な選択肢になります。ただし、これらは「使える場所」と「使えない場所」がはっきり分かれるので、事前の確認が不可欠です。
まず、手軽な「粘着テープ式フック」についてお話しします。最近では3Mの「コマンドフック」のように、タブを引き伸ばすことでノリ残りがなくきれいに剥がせる優秀な製品が増えていますね。しかし、積水ハウスの壁紙(ビニールクロス)の多くは、汚れ防止のために表面に細かな凹凸加工が施されていたり、防汚コーティングがされていたりします。

粘着フックの落とし穴
凹凸のあるクロス面に粘着フックを貼ると、接着面が点接触になってしまい、本来の粘着力が発揮できません。「最初はくっついていたのに、夜中にガシャンと落ちた」というのはこのパターンがほとんどです。また、逆に強力すぎる両面テープを使うと、剥がすときに壁紙の表面ごとバリっと持っていかれることがあります。これは補修が大変なので、私はクロス面への粘着フックの使用は極力避けています。
一方で、「マグネットフック」は壁を全く傷つけない最強のアイテムですが、当然ながら磁石が付く場所にしか使えません。積水ハウスの場合、以下のような場所が狙い目です。
- システムキッチンのパネル:ホーロー製やスチール製なら強力にくっつきます。調理器具やミトンを掛けるのに最適です。
- ユニットバスの壁面:積水ホームテクノなどのユニットバスは、壁パネルの裏に鋼板が入っていることが多く、磁石が付くケースが大半です。シャンプーボトルや掃除用具を浮かせられます。
- 玄関ドア(内側):金属製のドアなら、リースやマスクホルダーを設置できます。
- マグネット対応クロス(オプション):建築時に指定していれば、子供部屋や書斎の一角がマグネット対応になっているはずです。
特に最近人気なのが「ネオジム磁石」を使った超強力タイプのフックです。コンパクトなのに数キロの荷重に耐えられるものもありますが、磁力が強すぎて取り外す際に壁面を擦って傷つけてしまうことがあります。取り外すときは、引きずらずに「テコの原理」で傾けながらパカッと外すのがコツですよ。
時計や額縁を飾るピクチャーレールの魅力
美術館やギャラリーの壁を見ると、天井付近から細いワイヤーが垂れ下がっていて、そこに絵画が整然と飾られていますよね。あれが「ピクチャーレール」です。「うちは美術館じゃないし……」と思われるかもしれませんが、実はこれ、一般住宅、特に積水ハウスのような注文住宅において、非常に満足度の高い「隠れた必須オプション」なのです。
壁にフックを直接取り付ける方法と比較して、ピクチャーレールには決定的なメリットがいくつかあります。単に「絵を飾る」というだけでなく、暮らしの質をワンランク上げてくれるその魅力を、私の体験談を交えて深掘りしていきましょう。
最大にして最強のメリット:配置の「微調整」が無限にできる
私がピクチャーレールを導入して最も感動したのは、「飾る位置を1ミリ単位で調整できること」です。
例えば、リビングのソファーの上に大きなアートを飾りたいとします。壁に直接フックを付ける場合、ソファーの中心と絵の中心を完璧に合わせて、さらに高さも計算して……と、設置にはかなりのプレッシャーがかかります。もしソファーを買い替えてサイズが変わったり、少し配置をずらしたりしたら、もう絵の中心はずれてしまい、壁には無残な穴が残ります。
しかし、ピクチャーレールがあればどうでしょうか。
- 左右の調整:レールの上をランナー(フックの根元)が滑るため、指一本で好きな位置に移動できます。
- 上下の調整:「自在ワイヤー」と呼ばれる長さ調整機能付きのワイヤーを使えば、飾ったまま高さを上げ下げできます。
「あ、あと2センチ右かな」「もう少し低い方がバランスが良いかも」といった微調整が、壁を一切傷つけずに何度でもやり直せるのです。この心理的な手軽さが、インテリアを楽しむ上では本当に重要なんですよね。
新築なら「先付け」、リフォームなら「後付け」を選ぼう
ピクチャーレールには、施工のタイミングによって大きく2つの種類があります。積水ハウスで計画中の方は、ここが重要な分岐点になります。
| タイプ | 特徴とメリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 先付けタイプ
(埋め込み式) |
建築中の壁や天井にレール自体を埋め込んで施工する方法です。
|
建築時に計画しないと設置できません。後からの変更は困難です。 |
| 後付けタイプ
(露出式) |
完成した壁の上からビスで取り付ける方法です。
|
レール本体が壁面に出っ張ります。必ず下地のある場所にビスを打つ必要があります。 |

これから着工する方には、間違いなく「先付け(埋め込み)」をおすすめします。天井の際にスリットが入るだけのミニマルなデザインは、積水ハウスのモダンな内装と相性抜群です。私は設計段階で「とりあえずリビングと玄関には入れておいてください」とお願いしましたが、大正解でした。
意外と知らない?耐荷重とワイヤー選びのコツ
導入する際に気をつけたいのが「耐荷重」の考え方です。「このレールは30kgまでOK」と書かれていても、それはレール全体での話であることが多いです。
安全に使うためのチェックポイント
- フック(ランナー)1個あたりの耐荷重:レールが丈夫でも、フックが10kgまでならそれ以上の重さは掛けられません。
- ワイヤーの太さ:細い透明なテグスタイプは目立ちませんが、耐荷重は5kg〜7kg程度が一般的。重い鏡などを吊るす場合は、ステンレス製の太いワイヤーを選びましょう。
- 2点吊りの推奨:横長の額縁や重い鏡を飾る際は、1本のワイヤーではなく、2本のワイヤーを使って「ハの字」にならないよう垂直に吊るすと安定します。
我が家では、玄関のピクチャーレールに大型の「割れない鏡(リフェクスミラー)」を吊るしています。鏡はどうしても重くなりがちですが、ピクチャーレールなら下地補強された場所にガッチリ固定されているので、地震の際もフックが抜ける心配が少なく安心感が違います。
「壁に穴を開けたくない」「でもおしゃれに飾りたい」。そんな矛盾する願いを叶えてくれるピクチャーレール、ぜひ検討リストに加えてみてください。後からDIYで取り付ける場合は、先ほど解説した「下地探し」を駆使して、必ず柱のある場所にビスを打ち込んでくださいね。
純正セットやマジッククロス8の活用法
積水ハウスのオーナーになると、引き渡し時や定期点検の際に「メンテナンスキット」としてフックのセットをもらえることがあります。また、オーナー専用サイト「ネットオーナーズクラブ」などで消耗品として購入できる場合もあります。この「純正フック」、実は正体が分かるともっと手軽に入手できるようになります。
多くの場合、これらの中身は「日軽産業株式会社」が製造する「マジッククロス8(エイト)」シリーズと同等品です。ホームセンターのフック売り場に行けば、ほぼ間違いなく置いてある超定番商品ですね。
このシリーズが優れているのは、単に「穴が小さい」というだけではありません。私が特に感動したのは、セットに含まれている(あるいは別売りされている)「プッシュマジック」という専用の取り付け工具の存在です。
石膏ボード用のピンは意外と硬く、指で押し込もうとすると親指が痛くなったり、力が逃げてピンがひん曲がってしまったりと、地味にストレスがかかります。コインを使って押し込むのもコツがいります。しかし、このプッシュマジックを使うと、ピンの頭に工具を当てて「グッ」と押し込むだけで、女性の力でも面白いほど簡単に、垂直に、最後までピンが入っていきます。
オーナーとしての豆知識
「純正品じゃないと壁に合わないのでは?」と心配される方もいますが、基本的に日本の石膏ボード壁であれば、市販のマジッククロス8シリーズで全く問題ありません。むしろ、ホームセンターなら「セミトライアングル」や「フックが目立たないタイプ」など、純正セットにはないバリエーションも手に入ります。パッケージの裏面に「石膏ボード専用」と書いてあることを確認して購入しましょう。
賃貸でも安心な壁美人のメリットとは

「もっと重い物を掛けたいけれど、下地がない場所に設置したい」「壁の穴は絶対に見えないレベルに抑えたい」。そんなワガママな願いを叶えてくれる画期的なアイテムが、近年話題の「壁美人(かべびじん)」シリーズです。テレビ番組でも度々取り上げられているので、ご存知の方も多いかもしれません。
この商品の最大の特徴は、「家庭用のホッチキス」を使って金具を壁に固定するという驚きのアイデアにあります。専用の透明フィルムを金具に当て、その上からホッチキス(180度開くタイプ)を「バチン、バチン」と何発も打ち込んでいきます。
「ホッチキスの針なんかで本当に支えられるの?」と疑いたくなりますよね。しかし、1本の針にかかる力は小さくても、1枚のプレートに十数本の針を打ち込むことで荷重が分散され、驚くべき強度を発揮します。実際に、壁美人を使った「テレビ壁掛け金具」では、数十キロある大型テレビを石膏ボード壁だけで支えることができるのです。
そして何より素晴らしいのが、取り外した後の壁の状態です。ホッチキスの針は画鋲よりもはるかに細いため、抜いた跡は肉眼ではほとんど見えません。少し離れれば、どこに穴が開いていたのか全く分からなくなるレベルです。これなら、原状回復に厳しい賃貸物件にお住まいの方や、どうしても壁を綺麗に保ちたい積水ハウスオーナーさんでも安心して使えます。
私は自分の所有する賃貸物件で、入居者様に「壁美人なら使ってもいいですよ」と推奨しています。それくらい、壁へのダメージが少ない信頼できるアイテムなんです。棚を取り付けるための「シェルフ金具」や、ギターハンガーなど種類も豊富なので、DIYの幅が一気に広がりますよ。
実践!積水ハウスのウォールフックの使い方と注意点
ここからは、実際にフックを取り付けたり、より本格的なDIYを行ったりする際に知っておくべき「壁の中身」の話です。壁の構造を理解し、適切な位置にアプローチできれば、プロのような確実な施工が可能になります。逆にここを無視すると、思わぬ事故につながることもあるので、しっかり確認していきましょう。
壁の下地の探し方と間柱の位置確認
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カレンダー程度なら石膏ボード用フックで十分ですが、例えば「ダイソンの掃除機を壁掛けしたい」「重いウォールシェルフを取り付けたい」といった場合は、石膏ボードだけでは強度が足りません。必ず、ボードの裏側にある「下地(柱や間柱)」に向かってネジを打ち込む必要があります。
積水ハウスの住宅(木造のシャーウッドや、鉄骨のイズシリーズなど)では、一般的に約45cm(455mm)または約30cm(303mm)間隔で垂直方向に下地が入っています。しかし、壁紙の上からではどこにあるか全く見えませんよね。
そこで必須アイテムとなるのが「下地センサー」です。使い方は以下の3ステップです。
- センサーを壁に当てる:スイッチを押しながら、壁の上を水平にゆっくりスライドさせます。
- 反応を確認する:下地(柱)がある場所に差し掛かると、センサーが反応して「ピーッ」と音が鳴ったり、光ったりします。反応が始まった位置と終わった位置の中心が、下地の中心です。
- 物理的に確認する(重要):センサーは電気配線などに誤反応することもあります。必ず「下地探し どこ太」のような、細い針を突き刺すタイプの道具を使って、最終確認をします。
針を刺してみて、「ズブッ」と抵抗なく奥まで入ってしまう場所は石膏ボードのみの空洞です。一方、「カチッ」と途中で何かに突き当たって止まる場所、そこが下地です。この手応えのある場所にネジを打てば、ガッチリと固定できます。
ちなみに、積水ハウスの軽量鉄骨住宅の場合、下地は木材ではなく「軽量鉄骨(LGS)」と呼ばれる薄い金属の柱が入っていることが多いです。ここにネジを打つ場合は、木ネジではなく「軽天ビス」や「タッピングビス」といった金属用のネジが必要になるので、ホームセンターで相談してみてください。
重い物を掛ける際の下地補強の重要性
もし、これから積水ハウスで家を建てる、あるいは大規模なリフォームを検討している段階であれば、絶対にやっておいてほしいのが「下地補強」の依頼です。
通常、下地(間柱)は45cm間隔でしか入っていないため、「ちょうどこの真ん中にテレビを付けたいのに、下地がない!」という事態が頻発します。しかし、建築中に「ここにテレビを掛けます」「ここに大きな鏡を置きます」と伝えておけば、石膏ボードの裏に厚さ12mm程度の「構造用合板(ベニヤ板)」を広く入れてもらうことができます。
この補強が入っていれば、その壁面の範囲内ならどこにネジを打ってもガッチリ効くようになります。これは後からDIYで実現しようとすると、一度壁紙と石膏ボードを剥がして工事をする必要があり、数万円〜十数万円の費用がかかってしまいます。
後悔ポイントNo.1!?
オーナー仲間の話を聞くと、「もっと下地補強を入れておけばよかった」という声は本当によく耳にします。玄関の姿見用、トイレの手すり用、リビングの飾り棚用、壁掛けテレビ用…。迷ったら入れておくのが正解です。数千円の追加オプションで済むことが多いので、将来の自由度を買うつもりで検討してください。
すでに家が完成していて下地がない場所に重い物を付けたい場合は、「石膏ボード用アンカー(トグラーなど)」を使う方法もありますが、耐荷重には限界があります。やはり、設計段階での計画がカギを握ります。
玄関やキッチンでのマグネット壁の利用
「壁にフックを付けたいけれど、穴を開けるのは絶対に嫌」「将来的に飾る場所が変わるかもしれないから、位置を固定したくない」。そんな悩みを根本から解決してくれる、いわば"究極の壁活用術"があります。それが、壁そのものを磁石がくっつく仕様にしてしまう「マグネット壁(マグネット対応壁)」という選択肢です。
これは下地補強と同様に、基本的には新築時やリフォーム時に計画する必要がありますが、住み始めてからの生活の質(QOL)を劇的に向上させてくれる設備の一つです。私の知人の積水ハウスオーナー様のお宅での実例や、採用する際の素材選びの注意点について、詳しく掘り下げてみましょう。
生活感が出がちな「紙類」をスマートに管理する
学校の年間行事予定表、地域のゴミ出しカレンダー、町内会の回覧板、クーポンのハガキ……。生活していると、どうしても「すぐに見たいけれど、出しっぱなしだと散らかって見える紙類」が溢れてきますよね。
これらを冷蔵庫の扉にベタベタ貼ってしまうと、せっかくの素敵なLDKが一気に生活感丸出しになってしまいます。そこで活躍するのが、「ダイニングやパントリーの壁一面をマグネット対応にする」という方法です。
例えば、キッチンの死角になる壁や、パントリーの内側の壁をマグネット対応にしておけば、リビングのお客様からは見えない位置に、家族に必要な情報を集約できます。画鋲を使わないので、小さなお子様が誤って踏んでしまうリスクもありませんし、不要になったらサッと剥がすだけ。この「情報ステーション」を作るアイデアは、多くの子育て世代のオーナー様から絶賛されています。
「マグネットクロス」と「ホーローパネル」の決定的な違い
一口に「マグネットが付く壁」と言っても、実は大きく分けて2つの施工方法があります。ここを理解しておかないと、「思ったより磁石が弱くて物が掛けられない!」という失敗につながります。
| 種類 | 特徴・メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| マグネットクロス
(下地鉄粉シート) |
壁紙の下に薄い鉄粉シートを挟む、あるいは鉄粉入りの壁紙を貼る方法。
|
磁力はかなり弱いです。プリント用紙1〜2枚を留めるのが限界で、重いマグネットフックや棚を取り付けると、ずり落ちてくることが多いです。 |
| ホーローパネル
(エマウォール等) |
タカラスタンダードの「エマウォール」のような、金属ベースのパネル材を貼る方法。
|
クロスとは質感が異なるため、ツルッとした見た目になる(アクセントとしては優秀)。費用はクロスよりも高額になります。 |
もし、「プリントを貼るだけでなく、棚をつけて調味料を浮かせたい」「重いカバンを掛けたい」という目的であれば、迷わずホーローパネル(またはスチールパネル)を選んでください。逆に、「見た目の統一感を重視したい」「紙さえ貼れればいい」という場合はマグネットクロスが適しています。
玄関の「忘れ物ゼロ」化計画
もう一つ、私が特におすすめしたいのが「玄関の一角への導入」です。
玄関の壁にマグネット機能を持たせると、そこは最強の「お出かけステーション」に変わります。市販のマグネットトレーやフックを組み合わせることで、以下のような物を定位置管理できます。
- 車の鍵・家の鍵:帰宅してすぐにパチッとくっつけるだけ。
- 印鑑(シャチハタ):宅配便が来た時に、慌てて探す必要がなくなります。
- マスクホルダー:出かける直前に「あ、マスク忘れた!」と靴を脱いでリビングに戻る悲劇を防げます。
- 日焼け止め・虫除けスプレー:マグネット式のバスケットに入れておけば、夏場の外出もスムーズです。
玄関に棚を置くと場所を取って狭くなりますが、壁面活用ならスペースを圧迫しません。積水ハウスの設計士さんに相談すれば、ニッチ(壁の凹み)の中だけをマグネット対応にするなど、デザイン性を損なわない提案もしてくれるはずです。
後付けDIYのアイデア
「もう家は建っちゃったよ……」という方も諦めないでください。IKEAの有孔ボード(スコーディス)のようなボードを壁に取り付けたり、ホームセンターで売っている「ステンレスプレート」を強力両面テープで壁に貼ったりすることで、擬似的にマグネットスペースを作ることは可能です。ただし、見た目の美しさと強度はやはり建築時の施工には敵いませんので、リフォームの機会があればぜひ検討してみてください。
ネジ固定時の配線や構造への配慮

DIYで壁にネジや長い釘を打ち込む際、最も気をつけなければならないのが「壁内配線・配管への干渉」です。壁の中には、電気コード、インターネットのLANケーブル、給水・排水管などが縦横無尽に走っています。
これらを傷つけてしまうと、漏電による火災や、水漏れによる腐食といった重大な事故につながります。特に注意すべきなのは以下のゾーンです。
絶対に穴あけ注意!危険ゾーン
- スイッチ・コンセントの垂直線上:コンセントボックスから天井や床に向かって、真っ直ぐ電線が伸びている可能性が極めて高いです。このライン上へのビス打ちは絶対に避けてください。
- エアコン設置面の周辺:冷媒管やドレンホースが壁内を通っていることがあります。
- インターホンモニターの裏側:通信線や電源線が集中しています。
- 水回りの壁の裏側:キッチンや洗面台の裏側の壁には、給水管が通っている可能性があります。
「下地センサーで反応があったから柱だと思ったら、実は塩ビの配管だった」というケースも稀にあります。これを防ぐためにも、必ず「針を刺して確認する」プロセスを経て、木材や鉄骨の感触(硬くて粘りがある感じ)を確かめることが重要です。少しでも不安な場合は、無理をせず施工業者や積水ハウスのカスタマーセンター(カスタマーズセンター)に相談することをお勧めします。
穴跡を目立たせない補修テクニック

最後に、フックを取り外した後のメンテナンスについてお話しします。どんなに小さな穴でも、数が増えれば気になりますし、退去時にはきれいにしたいですよね。
石膏ボード用ピンや画鋲程度の小さな穴であれば、ホームセンターで売っている「ジョイントコーク(コーキング剤)」や「クロスの穴うめ材」を使えば、誰でも簡単に、ほぼ完璧に隠すことができます。
【プロ直伝】3分で終わる穴埋め手順
- 色の選定:自宅の壁紙の色に合った補修剤を選びます。一般的な白クロスでも、「ホワイト」「アイボリー」「ライトグレー」など微妙な違いがあります。迷ったら複数の色がセットになったものを買い、混ぜて色を調整するのがプロ技です。
- 注入:チューブの先を穴に当て、少し盛り上がるくらいまで注入します。
- 拭き取り:はみ出た部分を指の腹やきれいなスポンジで優しく拭き取ります。この時、壁紙の凹凸模様(エンボス)に合わせてポンポンと叩くように馴染ませると、光の反射が変わらず目立たなくなります。
- 乾燥:乾くと少し体積が減って凹むことがあります。その場合はもう一度上から注入すれば完璧です。
私も賃貸物件の原状回復作業でこの作業をよく行いますが、慣れてくれば1箇所あたり10秒もかかりません。言われないと気づかないレベルまで修復できるので、「穴が開くのが怖いから何も飾れない」と縮こまる必要はありませんよ。失敗しても直せる、と知っていれば、もっと自由にインテリアを楽しめるはずです。
積水ハウスのウォールフックの使い方まとめ

今回は、積水ハウスのオーナー様向けに、壁の構造を考慮した正しいウォールフックの使い方と、壁を傷つけないためのテクニックを詳しく解説しました。
大切なマイホームの壁に穴を開けるのは勇気がいりますが、正しい知識を持っていれば恐れることはありません。基本は「石膏ボード専用のクロスピンフック」を使い、重い物を掛ける時は必ず「下地センサーで柱を探してビス留め」をするか、「壁美人のような分散固定アイテム」を活用することです。
さらに詳しいフックの耐荷重や仕様については、メーカーである日軽産業株式会社の公式サイト(出典:日軽産業株式会社『石膏ボード用フック マジッククロス8』)なども参考になさってください。正確な数字を知ることで、より安心して選ぶことができるでしょう。
壁は、家の中で最も面積が広いインテリアスペースです。そこにお気に入りの絵が一枚あるだけで、部屋の雰囲気はガラリと変わります。ぜひ今回の記事を参考に、安全で美しいウォールデコレーションを楽しんで、あなただけの素敵な空間を作り上げてくださいね。